焼肉店などで見かける「希少部位」という言葉があります。サーロインやヒレなどと違い、あまり一般的でない名前の部位になりますが、希少部位とは実際どのようなもののことを指すのでしょうか。
また、部位によってどのような味わいなのかも気になるところです。この記事では牛肉の希少部位の定義や、種類と特徴についてご紹介します。
希少部位の定義とは
よく「希少部位」といわれる牛肉が売られていますが、そもそも希少部位とはどのようなものを指すのでしょうか。
一般的に希少部位とは、牛1頭のなかから3kg以下しかとれない肉の部位のことをいいます。
牛1頭の体重は400~600kg程度であるため、ほんのわずかしか取れないことがわかります。
ただし、希少部位だからといって、必ずしもおいしいわけではなく、そのため必ず高価だとは限りません。
部位によっては硬くてあまり商品にされることのない部位もあるのです。
牛肉の希少部位にはどんな名前の部位がある?
では実際にどのような名前で、どのあたりの部位のものがあるのかについて解説していきましょう。
よく知られている部位も希少部位だったりするので、是非参考になさってください。
シャトーブリアン
希少部位の中ではとりわけよく知られている部位で、そのおいしさにも定評があるのがシャトーブリアンではないでしょうか。
ヒレ肉の中心にある最も上質な部位とされるのがシャトーブリアンです。
牛肉の中でもヒレ肉は、牛1頭全体の2%程度しかない部位なのですが、その中のほんのごく一部になるため、希少部位の代表格ともいえるものです。
ヒレ肉はサーロインの内側にある細長い部位で、ほとんど運動をしない部位でもあるため、肉質のきめが非常に細かく、やわらかで脂肪分も控えめのあっさり味です。
ステーキにするなら厚く切って、弱火でゆっくり焼き上げるのがおすすめです。
ザブトン
肩ロースの一部で、zの中では最もサシが多い部分になるのがザブトンです。
座布団のような形をしていることからその名前がついた部位で、うまみがたっぷり感じられ、やわらかくとろけるような食感を楽しむことができます。
厚切りのステーキにするよりも、薄く切って焼肉として食べるのがおすすめの部位です。
かぶり
リブロースの背中側にあり、2つの筋肉からなるのがかぶりです。
リブロースをステーキにするときに必ず外す部位でもあり、余分な脂や筋を取り除いて焼肉用にすることが多いです。
肉質はリブロースと似ており、リブロースより少し硬くはなりますが、赤身とサシのバランスが良く、きめが細かくうまみが強いのが特徴。
焼肉はもちろん、すき焼きやしゃぶしゃぶに使ってもおいしくいただけます。
三角バラ
名前にある通り、三角形をしていることからこの名がついた肩バラの部位になります。
肋骨の前に位置し、チャックリブと呼ばれる部位ですが、バラの中でも特に希少で最高級とされています。
焼肉店で「特上カルビ」といえばこの部位を使っていることが多く、一般的なカルビとなる中バラが牛1頭から30kgとれるのに対し、三角バラは1kgしかとれないことを考えると、いかに三角バラが希少か分かるかもしれません。
赤身とサシのバランスが良く、とろけるような食感が楽しめる部位です。
ミスジ
肩甲骨の裏側にあり、お肉の真ん中に1本の筋が入っているのが特徴の部位です。木の葉のような形をしており、まるで葉脈のようにサシが入る美しい部位でもあります。
三角バラと同様に「特上カルビ」として扱われることもあり、ウデ肉の中では最もサシが多い部位です。
ミスジはウデ肉の中ではあまり動かさない場所にあるため、肉質のきめが細かくやわらかいのも特徴です。
カイノミ
中バラのなかではヒレ頭の部分に近く、脇腹の部分にあるのがカイノミです。
バラの中ではもっともやわらかいとされ、ヒレに近い部位のため、サシは少なく、ヒレの上品な味わいが楽しめる赤身の部位になります。
脂を取り除いた身が貝の身のように見えることからこの名前がついています。
サシは少ないですが、そのやわらかさは焼肉にするとひときわおいしく感じられます。
バラゲタ
カイノミがある中バラの、肋骨の間にある部位で「中落ちカルビ」「ゲタカルビ」と呼ばれるのがバラゲタです。
しっかりとしたうまみの感じられる赤身に荒々しい感じで入るサシが絡み合うこってりした味わいが特徴です。
コロコロと切って焼肉にするのがおすすめで、しっかり脂が落ちるまで焼いて、甘めのタレでいただくのがおすすめです。
トモサンカク
後ろ足の付け根あたりの「しんたま」と呼ばれる部位にあるのがトモサンカクです。
ももにある部位の中ではしっかりとサシが入る部位で、赤身とサシのバランスが良い部位です。
あっさりしており、もも肉なので赤身肉のおいしさも堪能できるのが特徴です。
イチボ
お尻のあたりにある「らんいち」と呼ばれる部位にある赤身肉がイチボです。
お尻の赤身肉というと硬そうなイメージがあるかもしれませんが、ほどよく脂がついているため、赤身とサシのバランスが良く、やわらかいのが特徴で、焼肉店では特に女性に人気のある部位です。
赤身らしく牛肉の本来の味わいが楽しめる部位なので、ローストビーフにもよく使われています。
ステーキにするなら弱火でじっくり火を通してレアでいただくのがおすすめ。
焼肉でもシンプルに塩や醤油で食べるとおいしさが引き立ちます。
フランク
フランクは、お腹側のバラ肉である「外バラ」に位置し、きれいな笹の葉のような形をしていることから、ささみとも呼ばれる部位です。
きめの細かいやわらかな肉質で、赤身とサシのバランスが非常に良く、バラ肉の中ではしつこすぎないのが良い点です。
表面をこんがりと焼き上げたステーキなどで食べるのがおすすめです。
タン
焼肉ではすっかりおなじみの部位であるタンも、実は希少部位の一つです。
さらに、そのほとんどは外国産で、和牛のタンともなれば超希少な部位といえます。
タンは「タン先」「タン中」「タン元」「タン下」の4つの部位に分けることができ、それぞれ肉質や食感が異なります。
焼肉店でタン塩にして食べるのは、一番やわらかい部位であるタン元の部分です。
タン中やタン元の部分は焼いて食べるとおいしい部位になりますが、タン先は硬い部位にあたるため、タンシチューなどの煮込み料理としていただくのが一般的です。
ハラミ
ハラミは牛の横隔膜の背中側の部分を指し、厳密に言うとホルモンにあたるのですが、牛1頭から2キロ程度しかとれない希少なものです。
特に和牛のハラミは流通が極端に少なく、スーパーや焼肉店で見かけるハラミは外国産である場合がほとんどです。
長く薄い形をしており、やわらかな食感が特徴で、細かなサシが入ったジューシーな味わいが特徴です。
内臓肉のため、鮮度や処理によっては臭みがでますが、丁寧に処理された新鮮な和牛のハラミは、あっさりしていて柔らかく、肉の旨味が強く感じられる部位なので、一度は味わってもらいたい部位です。
テール
牛の尻尾の部分のお肉をテールと呼び、焼肉では薄切りにして提供します。
焼肉よりも一般的な食べ方は、やはりテールスープや煮込み料理でしょう。
コラーゲンがたっぷり含まれており、煮込むととろりとした口当たりを楽しむことができます。
特に黒毛和種のテールはうまみが強いことでも知られ、肉質も輸入のものよりぐんとやわらかいので、赤ワイン煮などにすると絶品です。
牛肉の部位を知ってさらにおいしく
部位によってサシの入り方や赤身とのバランスが変わり、味わいも異なる希少部位は、焼肉などで食べ比べをするのも楽しい部位です。
今回紹介した部位以外にもまだまだ希少部位がありますが、特に黒毛和牛のタンとハラミは本当に希少なので、見かけたらぜひ注文してみてください。
焼肉店でいろいろ注文することももちろんできますが、お取り寄せの食べ比べセットなどを購入してみるのも一つの方法です。
ぜひいろいろと食べてみてお気に入りを見つけたいですね。