松阪牛や神戸牛など、土地の名前を冠した牛肉を「ブランド牛」といいます。いろいろなブランドが日本各地にあり、どこのブランド牛を買うか迷ってしまう人もいるのではないでしょうか。
この記事ではブランド牛の定義や他の国産牛との違い、有名なブランドなどについてご紹介します。
ブランド牛ってどんな牛肉?
松阪牛や神戸牛、近江牛など、ブランド牛は地名がついたものが多いですが、日本各地のブランド牛を統一するためのガイドラインなどは決められていません。
それぞれの地域にあるブランド牛の団体が、それぞれに基準を設けている状態です。
ただし、ブランド牛を名乗るための基準は非常に厳しく、産地や血統、肥育の方法など、ブランドごとの決まりに基づいて決定しているため、高品質なことに違いはありません。
厳しい基準をクリアしたブランド牛はブランドごとに個性があるので、その特徴を知っておくとお肉選びをするときに役に立ちます。
和牛・国産牛とブランド牛の違いとは
では、ブランド牛は和牛や国産牛とは違うのでしょうか。
少し紛らわしい和牛と国産牛の違いや、ブランド牛とはどう違うのかについて解説します。
和牛
和牛とは、日本の牛の主要品種である「黒毛和種」「褐毛和種」「日本短角種」「無角和種」と、この4種類を交雑したもののことをいい、なおかつ日本国内で生まれ、肥育された牛のことをいいます。
また、こうしたことが牛トレーサビリティ制度で確認できることも条件となっています。
上記は法律で定められています。
国産牛
国産牛とは、国内で生産された牛のことを指しますが、子牛を海外から輸入して日本で肥育した場合でも、日本で育てられた期間が海外よりも長い場合は国産牛となります。
そのため、国産牛には和牛に該当する品種以外の場合があります。
例えば、乳用牛として輸入されたホルスタインが、搾乳を終えて肉用牛として出荷された場合などです。
国産牛と名乗る牛の半数ほどは、こうした乳用種や交雑種となっています。
これも和牛の定義と同様に法律で定められています。
ブランド牛
先に述べたように、ブランド牛は各地域の団体が基準を設けて決めているもので、国が定める法律などはありません。
法的な拘束力はなく、ブランドごとに基準も違うため、どのようなものか気になる人は各地域の事務局などの情報を調べてみるのがおすすめです。
有名なブランド牛
ブランド牛とひとくちにいっても日本各地にたくさんのブランド牛があります。
有名なブランド牛にはどのようなものがあるのかご紹介します。
松阪牛(三重県)
全国的に古くから有名な牛肉のブランドとして知られるのが松阪牛(まつさかうし・まつさかぎゅう)です。
和牛香といわれる甘く上品な香りと、深みのあるうまみが感じられ、お箸で簡単に切れるほどのやわらかさを誇ります。
肉眼で見えないほど細かいサシが入ることで知られ、脂肪の融点が低いため、とろけるような舌触りが楽しめます。
ブランド牛としての歴史も古く、日本のブランド牛の筆頭としてふさわしい牛肉です。
神戸ビーフ(兵庫県)
松阪牛に次いで有名なのが神戸ビーフ(神戸牛・神戸肉)です。
兵庫県産の但馬牛の血統を持ち、きめ細やかな肉質とサシが細かく入った最高級の霜降り肉は、口の中にいつまでもその甘みの余韻が残るのが特徴です。
また、人肌で溶けるほど融点の低い脂肪がとろける舌触りとやわらかさを感じさせます。
神戸ビーフのお膝元である神戸には、神戸ビーフが楽しめるステーキハウスや鉄板焼店が多く、そのおいしさを楽しむことができます。
米沢牛(山形県)
ブランド牛というと西日本に有名な産地があるイメージがあるかもしれませんが、日本三大和牛の3番目の椅子を競ううちのひとつは、山形県で生産されている米沢牛です。
寒暖の差が大きい山形県置賜エリアで育てられ、牛肉本来の味わいとやわらかさと、赤身と脂肪のバランスが良いことで知られています。
松阪牛などと同様に脂肪の融点が低く、とろけるような口当たりでありながら胃もたれしないのが特徴といわれています。
ステーキや焼肉で食べてもおいしいですが、すき焼きが特においしいことでも知られています。
近江牛(滋賀県)
江戸時代に唯一牛を屠畜してよい場所であったことから、400年もの歴史を誇るのが近江牛です。
そのおいしさから米沢牛と日本三大和牛の3番目の地位を争うブランド牛でもあります。
鈴鹿山脈の清らかな水や湖東平野の肥沃な土地の中で育まれた牛肉は、きめが細かくやわらかな肉質です。
長い歴史の中で培われた多めの霜降りは甘みがありながら、見た目よりもあっさりと感じるのが特徴。
すき焼きや焼肉の名店でも取り扱われる折り紙付きの味わいが楽しめます。
飛騨牛(岐阜県)
日本の中心にあたり「日本のへそ」と呼ばれる岐阜県の、飛騨地域で生産されているのが飛騨牛です。
土地の大半が森林で占められている緑豊かな岐阜県で、豊かな山の恵みを受けながら、経験豊富な生産者のもとで飛騨牛は育ちます。
肉質はきめ細やかでやわらかいだけではなく、霜降りが美しく、一口食べればとろけるような舌触り。
奥行きのある味わいと上品で芳醇な香りが特徴で、多くの和牛ファンを魅了しています。
仙台牛(宮城県)
全国有数の米どころである宮城県で育てられているのが仙台牛です。
豊かな水に恵まれていることに加え、良質な稲わらを贅沢に食べることで、美しい霜降り肉が育まれていきます。
まろやかで口当たりが良く、肉汁が豊富でジューシーな味わいと、きめ細やかでやわらかな食感が特徴で、炭火焼のステーキなどがおすすめの食べ方です。
宮崎牛(宮崎県)
温暖な九州の地で育てられる宮崎牛は、和牛のオリンピックといわれる「全国和牛能力共進会」で大会史上初の2連覇を収めた実力派のブランド牛です。
一口食べると口に広がるほのかな甘みと、コクのある芳醇な風味が感じられます。
オレイン酸を豊富に含む脂肪を持ち、見た目よりもあっさりとした味わいでありながらも、口に入れた途端にきめ細やかに入った脂が溶け、とろけるような舌触りを楽しむことができます。
常陸牛(茨城県)
関東には有名なブランド牛がないイメージがあるかもしれませんが、関東で育てられているブランド牛のなかでも、特に品質が高いことで定評があるのが茨城県の常陸牛です。
黒毛和種のAB4~5等級のもので協会が認めたもののみが名乗れるブランドで、他のブランド牛と比較すると肥育期間が30ヶ月前後と、大きくなるまで育てるのが特徴。
濃厚な味わいと脂の甘み、きめ細かな肉質でとろけるような口当たりは、すき焼きなどで味わうと絶品です。
まだまだ知名度が低いこともあり、他のブランド牛と比較すると手頃なのもうれしいポイントです。
他にもたくさんあるブランド牛
ここまでに挙げた8つの銘柄以外にも、さまざまなブランド牛が日本各地で生産されています。
ふるさと納税の返礼品などで取り扱われることも多く、どこのものを購入するか迷ってしまうかもしれません。
それもそのはず、日本には全部で320銘柄を超えるブランド牛が存在するのだそう。
自分にゆかりがある地域や、旅行などで気に入った土地のブランド牛を探すと意外と見つかるかもしれません。
それぞれに特徴があり、個性豊かな味わいが楽しめるブランド牛。
ぜひお気に入りの銘柄を見つけて、誕生日や記念日などの特別な日に楽しんでみたいものですね。