牛肉を購入するときによく聞く「黒毛和牛」や「アンガス牛」など、牛の品種名にはいろいろありますが、どんな種類の牛がいるかご存知ですか?
牛の種類というとホルスタインや黒毛和種を思い出す人もいるかも知れませんが、厳密に言えばそれらは品種となります。
種類と品種では意味が異なり、世界には100を超える品種の牛が存在しています。
この記事では牛の種類や、日本と世界でどんな品種の牛が育てられているのかをご紹介します。
まず知っておきたい「牛の種類」とは
まず最初に覚えておきたいことのひとつに、種類と品種は意味合いが違うことです。
牛の種類としては「乳用種」「肉専用種」「交雑種」の3つに分類されます。
乳用種は文字通り牛乳をとるための牛のことで、いわゆる「乳牛」といわれる牛を指します。
例としてあげるなら、ホルスタインやジャージー種などが乳用牛にあたります。
肉専用種は一般に「肉牛」といわれる品種のことを指し、牛乳はとらずに肉にするために肥育する牛のことをいいます。
例えば、黒毛和種や褐毛和種などがこれにあたります。
交雑種は乳用種と肉専用種をかけ合わせたもののことを指し、日本ではジャージー種と黒毛和種を交配したものがこれにあたり、肉牛として出荷されています。
「牛の品種」とは
牛の種類が目的や交配に関する集合体を表すものだとすると、品種とはどのようなことを指すのでしょうか?
品種とは、特定の個性のあるもののことを指しますが、果物でいうならば、桃の「白鳳」や「あかつき」といったものを例に取るとわかりやすいかもしれません。
犬なら「ゴールデンレトリバー」「ダックスフント」が品種名になり、牛でいうところの品種は「ホルスタイン」「黒毛和種」などがそれに当たります。
種類と品種のイメージ
- 乳用種(種類)
- ホルスタイン(品種)
- ジャージー(品種)
- ブラウンスイス(品種)
- etc…
- 肉専用種(種類)
- 黒毛和種(品種)
- 褐毛和種(品種)
- etc…
日本における牛の品種
さて、では実際に日本ではどのくらいの数の品種の牛が育てられているのでしょうか。
日本の牛の主要品種には下記のようなものがあります。
乳用種の牛
ホルスタイン種
白地に黒い模様がある、日本で乳牛としてよく知られている牛がホルスタイン種です。オランダからドイツにかけての地域が原産の牛で、体が大きく乳量が多いのが大きな特徴です。寒さに強く温和な性格で、実はあの特徴的な模様は黒地に白い模様が現れたもの。日本の乳製品の多くがホルスタイン種の乳でできています。
ジャージー種
乳脂肪分の高いミルクがとれることで知られるジャージー種は、褐色の小型の牛です。ホルスタインのように乳量は多くありませんが、黄色がかった濃厚で風味の良い牛乳がとれることから、高品質の乳製品の製造に使われることの多い品種です。
肉専用種の牛
黒毛和種
毛だけでなく角や蹄まで真っ黒な牛で、肉牛として最高の遺伝的特徴を持つのが黒毛和種です。筋肉の間に脂肪が交雑する、いわゆる「サシ」が入る特徴があり、色沢が良くキメの細かい肉質であることが知られています。松阪牛や神戸牛といったブランド牛のほとんどが黒毛和種で、最高級の牛肉を生み出す品種として定評があります。
褐毛和種
褐毛和種はその名の通り褐毛に覆われた牛で、体が大きく発育が良いのが特徴の牛です。黒毛和種ほど脂肪は交雑しませんが、赤身が多いため牛肉本来の味が楽しめることや、放牧に向くことから、締まった身とバランスの良い脂肪酸を含み、ヘルシー志向の方に人気のある品種です。熊本県から高知県にかけてで育てられていた朝鮮牛をルーツに持ち、明治期以降に品種改良を行って生まれました。
日本短角種
黒毛和種や褐毛和種が西日本を中心に育てられていたのに対し、日本短角種は東北地方や北海道で盛んに育てられている品種です。日本の肉専用種の主要品種は、サシがたっぷり入るものが多いのに対し、日本短角種は脂肪の交雑が少なく、うまみのある赤身なのが大きな特徴です。褐毛で体が大きく、肉はアミノ酸を多く含み、噛むほどに味わいが広がることから、近年静かなブームとなっています。
無角和種
角のない黒い体を持ち、黒毛和種に次いできめ細やかな肉質を誇るのが無角和種です。
日本の主要品種の中では肥育数が非常に少なく、国内にはわずか200頭ほどしかいない希少な牛でもあります。
脂肪交雑は少なく、少し水分の多い赤身はアミノ酸を豊富に含むことから、ジューシーで噛むほどに味が深まる、牛肉本来のおいしさが楽しめる品種です。
日本では上記の4品種を中心に肥育が行われていますが、その他に黒毛和種と褐毛和種をかけあわせたものや、和牛間交雑種と呼ばれるものが育てられています。
また、分類として「交雑種」があり、肉専用種と乳用種をかけあわせたものも育てられています。
また、アンガス種やヘレフォード種といった「外国種」も育てられており、そうしたものを合わせると実際にはかなり多様な種類の牛が育てられていることになります。
世界における牛の品種
さて、冒頭でも触れましたが、世界で育てられている牛の品種は100種類を超えるといわれています。
実際にどのような牛が育てられているのか、種類別にご紹介していきます。
乳用種の牛
ブラウンスイス種
黒褐色をした大型の牛で、スイスが原産の品種です。
乳脂肪は約4%ほどと高めで、タンパク質の含有量も多いことから、チーズやバターなどの加工品に用いるのに向いている牛乳をとることができます。
日本でも北海道や九州などで育てられています。
ガンジー種
英仏海峡にあるガンジー島が原産の乳用種で、フランスのブルトン種などをルーツに持つ品種です。
黄褐色に白斑のある毛色をしており、ジャージー種より一回り体が大きいのが特徴です。
ジャージー種と同様に乳脂肪分の高い黄色がかった風味の良いミルクがとれ、環境への適応性も高いのが良い点です。
ただし、搾乳量が少ないという点から日本ではあまり育てられていない品種でもあります。
エアシャー種
イギリスのスコットランド西部にあるエア州が原産地で、厳しい気候条件と貧弱な草地で育ったことから、体が丈夫な品種となったエアシャー種。
白地に赤褐色やチョコレート色の斑紋がある中程度の大きさの牛で、寒さに強いのが特徴です。
乳脂肪分は約3.9%程度なので平均的な牛乳がとれますが、タンパク質の含有量が多いためチーズ作りなどに向いている品種です。
上記の3種に、日本でも育てられているホルスタイン種とジャージー種をプラスしたものが、世界5大乳牛と呼ばれる品種になります。
肉専用種の牛
アバディーン・アンガス種
日本では「アンガス種」と呼ばれ、スーパーなどで見かける牛肉となるのがアバディーン・アンガス種です。
イギリスのスコットランド北部が原産の牛で、体は小さめ、無角の黒毛をしているのが特徴です。
肉質が良く早熟で早く肥育できるのが利点であり、日本の無角和種もこの品種から生まれています。
ヘレフォード種
ヘレフォード種は18世紀に生まれた古い品種で、イギリスの西南部が原産です。
体の上部は赤褐色、下部は白いのが特徴で、中程度の大きさとなります。
肉質は少しきめが粗いのですが、寒さや暑さに加え乾燥にも強い品種のため、世界各地で今でもたくさん育てられている品種です。
ブラーマン種
アメリカ南部が原産で、熱帯や亜熱帯の地域で育てるのに向いている牛として作出された品種です。
アメリカの野牛をルーツに持ち、メキシコ湾岸地域やインドなどの交雑種や役用種をかけあわせて生まれました。
銀灰色や赤褐色の毛色で中程度の大きさをしており、丈夫で病気への抵抗力も高く、アメリカンビーフの一つとして育てられています。
上記の6種は海外で育てられている牛のほんのごく一部です。
乳用種の中には牛乳をとるためのものに加え、チーズやバターを作るのに適した品種があったり、肉専用種も厳しい気候環境の中で育てやすい品種があるのが大きな特徴です。
牛の品種を知って上手に牛肉を選ぼう!
牛肉といってもさまざまな品種の牛のものが流通していることがわかりますが、実際に牛肉を購入するときに品種や特徴を知っておけば、自分が好むおいしい牛肉の購入に役立ちます。
サシが多いものを好んでいれば黒毛和種、赤身が好きなら日本短角種など、品種を選んで購入することが可能になります。
ぜひ牛の種類や品種を覚えて、毎日のお買い物に役立ててくださいね。
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